2010年07月11日

小暮写眞館

本当の写真館の名前ではない。実際に群馬県の方に同名の写真館があるようですが・・・

宮部みゆきさんの長編小説です。

ひさびさに読後感のさわやかな小説を読みました。

小暮写眞館という廃業した写真館の建物に引っ越してきた花菱家の家族。 世間的にはごく普通だけど、ちょっぴり変っている両親。 その息子の高校生の英一(通称花ちゃん)と、可愛くて大人顔負けに聡明な弟のピカちゃん、 花ちゃんの親友で裕福な歯科医の息子で、学力抜群なんでもできちゃう女子にも人気抜群の(店子力)タナコツトムことテンコ、近所の甘味処の娘の丸顔で自黒なのでコゲパンとあだ名されている寺内小春、小暮写眞館を仲介した不動産屋の社長、そこのいつも無愛想な女事務員の垣本順子・・・

物語はごくありふれた(と思わせる)高校生の普段の生活から、心霊写真?というちょっとだけ非日常的なものを使って、物語がふくらんでいきます。宮部さんらしく登場人物がとても丹念に書き込まれていて、ドラマティックな物語などほとんど無い大長編なのに、読み手を飽きさせない。小暮写眞館の亡くなった元主人の小暮泰治郎や、幼くして病死した花ちゃんの妹の風子などが物語のバックにオブリガートのように絡みます。

登場人物も高校生にしてはちょっとできすぎの高校生ばかりだし、周りの大人もそれぞれに魅力的で善良な人物がたくさん登場する。ちょっと現実にはありえないかな?と思える設定なんですが、そこはそれ、宮部さんの筆力に、言葉は悪いけどだまされて引き込まれてしまう。

この小説はある種の青春小説だと思うし、恋愛小説ともいえます。色々な人がいて、色々なことが起きるのが世の中。そんな日常をとても感動的に描いた傑作だとおもいます。

小説家というのはまあ、アーティストに近い職業なんでしょうが、宮部さんは文章の職人だと思いますね。それもただの職人ではありません。宮部さんは物書きのマイスターだと思います。日常的な物語をちょっぴり非日常的な味付けをして最後は読者の胸にグッ!と迫る感動を 与えてくれる・・・・・小暮写真館はそんな宮部ワールドと宮部マジックが両方味わえる 傑作です。

装丁の「千葉小湊鉄道の写真」エンディングで納得します。とても綺麗な良い写真ですね。

小暮写眞館

小暮写眞館

価格:1,995円(税込、送料別)



posted by Aregro at 17:44| Comment(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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